それが、いつもの。






センセイの、癖。



きり丸。

ひとつ、低く名前を呼んで。
髪を撫でて瞼を撫でて頬を撫でて、ふわりと唇を軽く撫ぜてから、必ずそうして口付ける。
最初は軽く触れるだけ、それを、二度、三度。
そうして、そのまま深くなる。

「ん、…ん」

舌と、歯列と、歯茎と全て、まるで食べるみたいに。
なんか変な言い方だけど、行儀良く、順序良く触れる。

「っ!」

そうして一通り巡ったセンセイの舌は、やっと、初めて其処に触れる。
わざと其処だけ外して、最後の最後に辿りつく様に。

人よりやや目立つらしい犬歯。
その生え際、その部分。
ちろ、と薄く這わせられただけなのに、身体が震えて、力が抜ける。
同時に、大きな掌が、ぎゅうと身体を抱き込んだ。

「…ふ、ぁ」

其処は嫌、其処は駄目。
頭がぼおっとするから、どうにかなっちゃいそうだから、
だから其処はやめて欲しいのに、
なぞる様に触れて、離れて、また触れて。
そうやって遊ぶの、悪い、癖。

いい加減呼吸が苦しくなって睨み付けたら、何故か口元だけで笑われた。

それからたっぷり、もう駄目だと思った時に、漸く解放してくれる。
一段と大きく飲み込まれるみたいにされたあと、わざと小さく音を立てて、下唇を軽く吸われてやっと離れた。
あ、来る。
いつまで経っても慣れない緊張感に、つい、手に力が入った。

それが終わりの合図。
そして、始まりの合図。













きり丸の、癖。



ひとつ名を呼んで、髪と瞼と頬を撫でると、まるでゴロゴロと喉鳴りが聞こえるかのように様に目を眇める。
長い睫毛がふわりと揺れて、細い影を作った。
軽く唇を撫ぜると小さく開くから、此方はそれに大いに甘んじる。

最初は軽く触れるだけ、それを、二度、三度。
そして舌と、歯列と、歯茎と全て、まるで食べるみたいに。

「ん、…ん」

自分は気付いているのかいないのか、最初は襟を掴むその手が、
そこまですると、必ず首に手が回る。
腕の重みと、漏れる吐息で、より重なって深くなる。

「っ!」

わざと其処には触れないように最大限に気をつけて、
そうして一通り巡ったその後の、最後の最後に触れる場所。
特徴的な、その、犬歯。
その生え際、その部分。
ほんの薄く這っただけなのに、ぴくりと身体が強張った。
触れるか触れぬか、感じるか感じないか。
その境目を楽しめば、急激に腕の力が抜けていく。
代わりに身体の力も抜けるから慌ててそれを抱きとめた。

一番始めの、ヨくて、嫌がる、弱い場所。

なぞる様に触れて、離れて、また触れて。
つい苛めてやるのが止まらないのは、

「…ふ、ぁ」

…そんな顔をするからだと、本当に、気付いているのか、いないのか。
荒い呼吸で見上げる其の眼は、どうやら睨みつけているらしいけれど。
そうやって、此方を煽るのも癖だよな。可笑しくて、可愛くてたまらない。

それからたっぷり、十二分に堪能後。
もう息も絶え絶えその瞳に免じよう。そう思うけれど、名残惜しいと最後にもうひと飲み。
柔らかい下唇をちゅ、と吸い上げてやれば、また、回された手に力が篭る。

それが終わりの合図。
そして、始めの合図。





さあ、これから。








通い詰めさせて頂いている「KSL-n」の沖村しの様の日記で激萌えて派生したもの。
その日記は是非沖村様のところから!!(笑)ものっそい萌えますからほんと。むしろイラストが見たいなー!!?(自重)
というか、勝手に送り付けてしまって非常に申し訳ありません…。有難くも掲載許可を頂けたのでアップします。
まぁ、ちゅーくらいならいくらでも表だろ、と思って表。全然ぬるいしね…。あの萌えはこんなもんじゃないのですが…!くそう…!!
沖村様、素敵な萌えネタをありがとうございましたー!!!!

2008.12.23 初出





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